金融庁が発表した「人生100年時代の資産形成の指針」の真実と対応策

投資の基礎知識・思考方法

こんにちは。堤 国之助(twitter:kuninosuke1)です。

 2019年5月に、金融庁が人生100年時代の資産形成の指針を発表しましたが、この発表された内容がネット・リアル共に多くの批判を集めました。
 今回は、指針の内容と批判の内容のそれぞれを整理した上で、人生100年時代において個人それぞれが取るべき具体的な対策をお伝えします。

金融庁の指針内容

 指針では、政府の年金運営の限界を認めた上で、世代別に取るべき行動が示されていました。端的にまとめると、「若いうちから資産形成を開始し、退職時期を後倒しすることで、自分で老後資産を形成しましょう」という内容です。https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190522.html

<指針サマリ>

  • 現役期(30歳頃~50歳半ば)

・早い時期から、少額からでも長期・積立・分散投資による資産形成を実施する
・長期的に付き合える金融機関の選定する

  • 退職前後(50歳半ば~70歳頃)

・もう少し長く働くことを検討する
・退職金の額など資産の取り崩し計画を検討する

  • 高齢期(70歳頃~100歳頃)

・自らの資産額を、計画的に取り崩す
・要介護など心身の状況に応じて、資金計画の見直しをする

指針に対する批判内容

 指針に対して、多方面から「ふざけるな」、「自助に期待するなら、年金の徴収を辞めろ」等、怒りの声が殺到しました。批判内容としては、年金で国が助けてくれないなら、今の年金制度を辞めるべき、高齢者が優遇されて若者が搾取されるのはおかしい、といった声が大部分でした。

 一方で、これら批判には的外れな内容が多かったことも事実です。あらためて、問題点を確認したいと思います。

結局、年金は破綻するの?

 批判の中でも特に多い「年金が破綻する、年金は頼れない」という意見ですが、これは誤解です。記載されていた内容は「年金だけだと、老後に毎月約5万円が赤字になる」ということです。また、その理由も「高齢者が優遇されている」のではなく、「年金の給付額は予定通りであるが、平均寿命が延びているため、給付金額では足りない」というのが表現のほうが正しいでしょう。

 つまり、年金は破綻せずに予定通り貰えるけれど、寿命が延びた分、年金だけでは生活費が足りないというのが、金融庁の指針ということです。

私達が取るべきアクション

 批判が誤っていることは分かりました。その上で、私たちは何をすべきか、考えたいと思います。

 当サイトは、20代~30代をフォーカスしています。この世代に必要となるアクションは、資産形成を早期に開始することです。指針の中では、毎月5万円が老後に不足すると記載されています。また、フィデリティ投信およびフィデリティ退職・投資教育研究所が2018年に実施した試算によると、「退職時の年収の7倍の資産」が目安となります。60歳に退職する場合、年収500万円なら3,500万円が必要になります。仮に30歳から65歳までに3,500万を準備するとなると、毎月約8.5万円の貯金が必要です。

 毎月約8.5万円の貯金が現実的かどうかは、個々人によって違いますが、私個人としては、中々ハードルが高いと思います。もしも、同様の感覚を持たれた方がいれば、①キャリアアップや副業による収入の増加、②運用による資産形成、の2つをおススメしています。これらは、特別なスキルや多額の資金を持っていなくても始められること、成功する方法がパターン化されているため再現性が高いこと、という点で、多くの方に適しています。

 具体的な方法は、当サイトの他の記事にて記載しておりますので、参考にしていただければ幸いです。

 以上、金融庁が発表した人生100年時代の資産形成の指針内容、指針に対する批判の誤解、私たちが取るべきアクションのまとめになります。ご愛読いただき、ありがとうございました

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