「いまはリスク回避。暴落時に備える」は、ウォーレン・バフェットに通じる手法

マクロ動向・指標考察

こんにちは。飯田隆太です。

 

 ブラック・ロック社とモルガン・スタンレーが株式市場への投資水準を引き下げる方針を表明しています。当サイトでも、常々いまの株式市場は割高であると訴え続けてきていますが、ここにきて大手投資機関が同様のスタンスと方針を取り始めており、この機会に再度いまの株式市場の割高な状況を指標で確認するとともに、個人投資家が取るべき方針についても触れたいと思います。

 

株価は割高。世界経済の見通しには暗雲。機関投資家の投資水準は低下。

 

 世界全体で見れば株価は今年にはいってから既に16%も上昇しています。しかし一方で、PMI工業指数は下がり続けています。リスク回避時に購入される国債は、中長期にわたって購入されており、結果として実行金利は下がりつづけています。

 また既に他の記事でも何度も取り上げているように、去年末からOECDは世界経済に関する見通しを下方修正し続けています。

 

 このような背景に加えて、各社が出している収益予測は楽観的すぎるとし、モルガン・スタンレーは、株式に対する投資水準を過去5年間で最低の水準に引き下げています。

 

モルガン・スタンレーの投資水準は過去5年間で最低の水準

(出所: bloomberg.com “Morgan Stanley Turns Bearish on Global Stocks as Challenges Grow”)

 

 ブラックロック社のストラテジストも、同社の方針について「全体の株式リスクをある程度減らし、ポートフォリオの安定剤として国債を保持し、ドルベースの投資家のために現金比率を多少高める方向を当社は選好している」と発言しています。

 

 株価の割高性を示す指標は、芳しくない経済指標とは対象的に、以前から割高の水準でしたが、モルガン・スタンレーやブラック・ロックのような機関投資家がこのようなスタンスを表明したことは、同様のスタンスを取り始める他社も増え、株式市場、特に米国の株式市場への投資水準が下がり始める可能性が示唆されます。

 

 次は、株式市場の割高・割安を測る指標である、バフェット指数とシラーPERの直近の数値を確認していきたいと思います。

 

バフェット指数: 直近の数値は140.18

 バフェット指数とは、有名な投資家ウォーレン・バフェット氏が株価の割安・割高を測るときに使っていると言われる指標です。計算式は

 

「株式市場の時価総額÷その国のGDP×100」

 

です。

 

 株価は、株式を発行している企業の利益に基づき、購入され価格が決定されます。そして、企業の利益はその国の経済動向、端的に言えばGDPに依存します。つまり、その国のGDPと株価を比較すれば、株価が割高なのか割安なのかを判断できるというのが、このバフェット指数の根幹となる考え方です。

 

 一般的には100%を超えれば、割高であると言われており、過去の暴落時を見てもその関係性を確認できます。ただし100%を超えてから数年ほどたってから暴落する場合もありますので、暴落時期をピンポイントでわかるという指標ではありません。(これはバフェット指数だけでなく、指数、指標と呼ばれるものすべてにあてはまりますね)現在の株価が割高か割安化の判断材料として使うべきもので、逆にいえば、100%を越した状態がしばらく続くと暴落の危険性があると判断できる指標と言えます。

バフェット指数

(出所: 日経平均株価AI予想より抜粋)

 

 このバフェット指数ですが、直近の数値を見ても、140.18と依然高い数値が確認できます。冒頭でも述べたとおり、世界の株価は今年にはいってから16%上昇していますが、世界のGDPに対して割高な状態が続いているといえます。また、これも冒頭で既に確認した点ですが、経済の先行きとしては、PMI指数やOECD、世銀の経済予測は下方修正を続けており、上昇を続ける株価とは対照的な点が不安な要素であります。

 

シラーPER: 7月10日のデータでは30.52

 

 次にシラーPERです。

ノーベル経済学賞受賞者のロバート・シラー教授が考案した指数で、インフレ率を調整した過去10年間の1株あたりの純利益の平均値でPER(株価収益率)を計算したものです。株価の割高・割安を大まかに判断する指標として使われています。

 

 過去の暴落を見ると、大体25を超えた付近で暴落が起こっていることから、25を超えていれば割高および暴落の危険性が示唆されると言われています。

 

 実際に、シラーPERを見てみると、2017年あたりから25を超えてきており、直近の2019年7月10日のデータでも30.52と、割高で有り続けているようです。

 

 これももちろん大まかな指標であり、25を超えたからすぐに暴落するといったものでもありませんが、米国株式市場が依然割高であることが確認でき、冒頭で申し上げた基本戦略からすれば、いまは過度にポジションを持つべきではないことがご理解いただけるのではないかと思います。

 

シラーPER

(出所: イェール大学ロバート・シラー教授のHP掲載データより作成)

 

 

「いまはリスク回避。暴落時に備える」は、ウォーレン・バフェットに通じる手法

 

 このようなときに個人投資家が取るべき基本戦略は、キャッシュ・ポジションを高くしてリスクを回避し、もし暴落が起これば、そのときにこそ割安な価格で大量に株式を仕入れるべきです。つまり、当サイトで以前より推奨している基本戦略です。

 

 これは、ウォーレン・バフェットも実行している投資手法です。下の図は、S&P500とバークシャー・ハサウェイの現預金残高の推移を並べてみたものです。株価が高まるにつれて、キャッシュ・ポジションを高めていることがわかります。つまり、株価が高まるにつれて株式を売り払って現金化して暴落を待っているのです。そして、暴落した時点で、大量に買い漁り、株価と景気の回復を待つのです。

 

S&P500とバークシャー・ハサウェイの現預金残高の推移

(出所: Berkshire Hathaway accounts, Thomson Reuters Datastream)

 

 この手法を、バークシャー・ハサウェイは過去に何度も忠実に行ってきており、そのたびに大儲けしています。何度も繰り返しになりますが、いまは投資ポジションを引き下げ、キャッシュ・ポジションを高めるべきというのがおわかりいただけるかと思います。

 

 以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

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