過剰な金利追及から聞こえるバブル崩壊の足音

マクロ動向・指標考察

こんにちは。堤 国之助(twitter:kuninosuke1)です。

 

 10月は世界的な株価上昇で幕を閉じました。一方で金利動向には気になる動きが見えています。今回は、直近の金利情勢に伴う投資家の動向、及び景気展望について考察します。

1,800兆円がマイナス金利に投資

 マイナス金利が世界中に波及していることは、周知の通りと思います。一方で、マイナス金利の国債への投資額が1,800兆円を超えていることはあまり知られていません。[i]マイナス金利の国債を保有すれば、当然金利分がマイナスとなります。それにもかかわらずマイナス金利の国債が購入されるのは、価格上昇が期待されているからです。

世界的に加速する利下げ

 マイナス金利が広まる背景には各国の中央銀行による金融緩和があります。日本や欧州の政策金利に引きずられ、債権市場の金利の低下は止まりません。
 機関投資家の中には、国債での運用をもはや諦めて、新興国国債、社債、REITなど、よりリスクの高い商品での運用を強いられています。

CLO残高の拡大

 このような金利追及下気になる指標が浮かび上がってきています。日銀は10月24日のレポートで、格付けの低い企業への融資をまとめて証券化したローン担保証券(CLO)を分析しました。同レポートで国内大手金融機関のCLOの投資残高は、2018年度末に12.7兆円と3年前の2.5倍に拡大していることが判明しました。
 既に広く知られているとおり、リーマンショックの引き金となったのは、投資家が高い利回りや収益を求め、信用力の低い証券化商品に殺到したことでした。現状のCLOの残高拡大は、当時の状況に似た様相を呈しています。

「タテホ・ショック」の歴史から学ぶ

 1987年に「タテホ・ショック」という事件がありました。上場企業のタテホ化学工業が、債券投資に失敗したというニュースが報道されました。
 同ニュース報道後には債券市場はパニックに陥り、10年国債の金利は2%台から6%台となるほど債券価格は大幅に下落しました。信用力の低い高利回り商品に資金が集まった先は債券価格の下落は市場全体のリスクオフに繋がり、株式下落に遡及します。このように過度に金利を追い求めた先には、バブルの崩壊が待っていることは歴史が証明しています。昨今の金利追及が、同様の事象になる可能性は否定できないでしょう。

短期では上昇相場だがバブル崩壊も念頭に入れるべし

 日本の株式市場の株価が上昇する大きな要因は、上昇、多くの場合、海外投資家の買いによるものですが、10月の海外投資家の日本株購入は7,000億円を超える規模となり日本株式市場の株価も準じて上昇が続きました。
 短期の株式市場の動きとしては、このような海外投資家の買いが続く限りは、株価上昇の傾向がある程度続くと思われます。よって、紹介したCLOなどを起因とするバブル崩壊が起こるとしても、それは少し先の話と思っています。
 バブル崩壊とは別の論点として経済の先行きにも注意をしておくべきでしょう。景気後退の予兆といわれる逆イールドカーブは、2019年8月に発生しました。過去、逆イールドカーブが発生してから景気後退までは平均すると2年2ヵ月程度となっています。すると、2020年~2021年頃に景気後退が発生するかもしれません。
 市場全体のムードやメディアの論調は、買いのポジションが優勢ですが、我々個人投資家は一過性のムードやメディア情報に踊らされることなく、ポジションを取る場合は慎重に銘柄の選定やタイミングを見極めていくべきでしょう。「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」。投資家の間では有名なこの言葉ですが、今が楽観か、幸福感かは誰にも分かりません。但し、バブルと言われる相場で買いに走らないことをお勧めします。

 

以下、関連記事です。

景気後退に備える方策は、以下の記事をご参照ください

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具体的な相場下落時の投資方法は下記記事です。こちらもご参考にしてください。

下げ相場時の「買い下がり投資法」のススメ
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以上、過剰な金利追及から聞こえるバブル崩壊の足音をご紹介しました。ご愛読いただき、ありがとうございました。

堤 国之助

[i] 日経ヴェリタス第608号46Pより

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