こんにちは。堤 国之助(twitter:kuninosuke1)です。
2019年も残すところあと一日、皆さん今年はどのような年だったでしょうか。大晦日ということで、2019年における株価の総括と、2020年の相場リスクを分析したいと思います。
2019年は「出来すぎた結果」
2019年を総括するならば、株価上昇が出来すぎた年だったと言えるでしょう。日米の株価は年初の2割前後上昇しており、日経平均は年末終値で1990年以来の2万3,000円台を確保し、バブル崩壊後の過去最高値を見据えています。
株価上昇は日米だけでなく世界中に普及しています。世界主要市場25市場のうち、マレーシアとポーランドを除く23市場で株価は上昇しています。株式以外にも、REIT(不動産投資信託)、債券、商品も軒並みプラスとなりました。
2020年の株価展望
2020年も2019年から引き続き株価上昇が続くという声もあります。一方で過去の年間騰落率を見ると、2桁上昇した翌年の株価は1桁上昇にとどまるか、下落するケースが多いという経験則もあります。
では、現在市場にはどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか。主要な3つのリスクを分析していきたいと思います。
①VIX先物売り 最大規模に
「警戒すべし」との指摘が多いのは、昨年2月の「VIXショック」の再来です。予測変動率を測る米VIX指数に絡む取引が逆回転し、NYダウ、日経平均ともに大暴落しました。VIX指数は米国株が将来どの程度激しい変動するか測る指標です。ショック前は多くの投資家が株価の安定を見込んでおり、「VIXの空売り」が膨らんでいました。そこに指数の上昇をきっかけとした買戻しが発生し、指数が急上昇。これが株価急落の引き金となりました。
2019年12月時点で、VIX先物の投機筋の建玉残高は約18万枚と過去最大規模ですこの状況に市場関係者は懸念を抱いています。
②膨らむ未公開ファンド
2008年のサブプライムローンのように、次の危機の震源となるのではないかと警戒されているのがPB(プライベート・エクイティ=未公開株)ファンドです。金余りによる活発な資金流入によって、PEファンドは資金を投資に回しきれなくなっており、投資先を奪い合って「高値掴み」することや、成長の見込めない企業に手を出して失敗することによって、損失補填のために他の資産が売却されるといったシナリオが考えられます。
象徴的なのが、シェアオフィス大手の米ウィーカンパニーです。IPOの頓挫で資金繰り危機に陥り、出資するソフトバンクグループは19年7月~9月期に約7,000億円の最終赤字を計上したことは記憶に新しいでしょう。仮に第2、第3のウィーが現れれば、痛手をこうむるのはソフトバンクグループだけで済まないでしょう。
③業績回復なき株高
「直近1,2か月の株高は期待先行」。強気派、弱気派を問わず、市場関係者にはほぼ共通する見解です。日経平均のPER(株価収益率)は12月時点で14.5倍。10月半ばの12倍台から急上昇し、米中摩擦が表面化する直前の2018年春以来の高水準です。これは、それだけ市場心理が楽観的に傾いているということを示しています。証券アナリスト予想における企業業績の上方修正、下方修正の差を算出結果では下方修正が優勢です。そのため、企業業績悪化に伴う株価下落リスクが存在します。日本株がこの先も上昇基調を保つためには、市場の期待を裏付けるだけの業績回復が不可欠です。
以上、2020年以降の株価展望を予測するうえでのリスクを分析しました。上述通り、楽観論が一段と増えているというのも事実です。相場格言では「強気相場は楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えてゆく」といいます。これに照らせば上昇相場は終盤戦に差し掛かったとも考えらでしょう。こうした事実を踏まえ、相場急落のリスクは依然として低くないというのが、今後の展望予想になります。
別の記事の繰り返しとなりますが、度々お伝えしておりますが、我々個人投資家がとるべき施策としては、既に金融商品を保有されている方はすぐに売却せず、市況を見守ることをお勧めします。買い場を見極めている方は、直近の株価上昇に踊らされず、しっかりと投資機会を見定めてください。「他人が貪欲であるときに恐れ、他人が恐れているときに貪欲に。」これはバフェット氏の言葉です。長期投資で資産形成を目指す私たち個人投資家は、現状の相場上昇に冷徹な目を併せ持つ姿勢が大事になるでしょう。
最後になりますが、今年一年、当サイトを閲覧いただきありがとうございました。来年も有益な情報を読者の皆様に届けられるよう、ライターも日々勉強を続けていきます。来年が皆様にとって良い年でありますように。
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景気後退に備える方策は、以下の記事をご参照ください
具体的な相場下落時の投資方法は下記記事です。こちらもご参考にしてください。
以上、2019年の総括と2020年以降の相場リスク分析をご紹介しました。ご愛読いただき、ありがとうございました。
堤 国之助
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