新年度の株価の行く末

マクロ動向・指標考察

こんにちは。堤 国之助(twitter:kuninosuke1)です。

 新型コロナウイルスの感染拡大による市場の混乱は続いたまま、2020年度の株式市場は幕を閉じました。11%安となった19年度の流れを継ぎ、20年度の出だしも下落とともに始まりました。今回は今年度の相場動向を分析したいと思います。

 

日銀の買い VS 外国人投資家の売り

 2019年度から引き続き、市場の主要な買い手は日銀です。19年度は日本株を5兆6,000億円購入した日銀は、3月にETFの買い入れ額を年12兆円のべースに機動的に増やせる追加緩和策を決定しました。3月には1日に2,000億円を超えて買い入れる日もあり、1兆5,232億円のETFを買い入れました。4月1、2日の買い入れ額は1,202億円に留めましたが、海外投資家が10兆円売り越しても吸収できるという意味で、日銀の存在は依然大きいです。

 

事業法人の自社株買い減少傾向

 東京証券取引所の売買主体別売買動向で、19年度に事業法人が4兆6,000億円の買い越しでした。企業による自社株買いがいわゆる「持ち合い株」の解消売りを吸収した結果となっています。しかし、足元では企業が手元に現金を残しておきたい動機が働きやすく、新型コロナが落ち着くまでは、自社株買いは減少する見込みです。それでも一部企業は株価下落を好機と見て自社株買いを実施しています。1日にはヤマダ電機(9831)が自社株買いを決議し、翌2日は株価が一時17%上昇しました。自社株買いによる株価上昇効果はまだまだ健在のようです。

 

海外勢の動向

 海外勢は3年連続で日本株を売り越しており、19年度は9,300億円の売り越しとなっています。直近では7週連続で日本株を売り越し、金額は2兆6,000億円を超えています。市場では新型コロナへの警戒が続く限りは日本株を売りに回る可能性が意識されています。

 なお、国内の個人投資家は2月以降の下落相場で1兆円を買い越す「逆張り投資」となっています。これまで、海外投資家が売り越し、個人投資家が買い越す場面では個人投資家が損をする傾向にあるので、今回も同様の結末になる可能性が高いと思われます。

 

時間分散による投資のススメ

 相場の底入れは、コロナの感染者数が世界的にピークアウトする時期次第でしょう。そしてその目途はまだまだ見えない状況です。加えて実体経済への影響が数字として表れるのも、まだ時間がかかります。

個人投資家がとるべきアクションとして、時間分散の投資をおススメします。上記背景を踏めると。今後二番底を形成する可能性は十分に考えられます。株価が安くなったため、一括で投資するのも一案ですが、二番底の可能性を踏まえるならば、時間分散で購入金額を分けつつ、リスクを分散した購入も検討の余地があると思います。

 

 以上、新年度の株価の行く末になります。ご愛読いただき、ありがとうございました

 

 

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