Membership Company – 持分会社

持分会社とは、合名会社、合資会社または合同会社の総称である。なお、「持分」とは、株式会社における「株式」にあたるものであり、出資者の地位を表すものである。

持分会社

1 持分会社の設立

株式会社と同様、持分会社も定款を作成しなければならない(会社法第575条)。ただし、株式会社と異なり公証人の認証は不要である。また、現物出資等に関する検査役の調査も不要である。持分会社は、本店の所在地において設立登記をすることによって成立する(会社法第579条)。

2 社員(出資者)および出資

株式会社の社員(株主)は全員有限責任であるが、持分会社の社員の責任はその種類によって異なる。また、株式会社は財産出資しか認められないが、一部の持分会社では財産以外の信用・労務による出資が認められる。くわしくは各持分会社のところで説明する。なお、社員は法人でもよい(会社法第598条)。

3 持分会社の機関

株式会社と異なり、持分会社には取締役(会)、監査役(会)、会計参与などの法定の機関はほとんどない。業務執行社員(無限責任社員および有限責任社員のいずれも可)が複数いる場合にその過半数の決議をもって業務執行を決定しなければならない場合はあるが、これも定款に別段の定めをすることができる(会社法第590条2項、591条1項)。つまり、持分会社では、定款自治により自由に機関設計が
行えるということである。

業務執行社員(2人以上いる場合は各自)は持分会社を代表する(会社法第599条1・2項)。持分会社は、定款または定款の定めに基づく社員の互選によって、業務執行社員の中から持分会社を代表する社員を定めることができる(会社法第599条3項)。

 

合名会社

 

合名会社とは、直接無限責任社員のみからなる会社である。合名会社は出資者(社員)とは別の「法人」であるが、社員は合名会社が負債を払えない場合は個人の全財産で返済する義務(直接無限責任)を負う。そのため、経営を他人任せとするのはとてもリスクが大きい。そこで、定款に別段の定めがある場合を除いて、社員は業務執行社員となる(会社法第590条)。出資者自らが経営するということである。

合名会社の出資は財産以外にも信用・労務による出資が認められる。持分(株式会社の株式にあたるもの)の譲渡には、社員が複数いる場合は社員全員の承諾が必要である(会社法第585条1項)。

 

合資会社

合資会社は合名会社のバリエーションであり、直接無限責任社員以外に直接有限
責任社員が存在する会社である。

有限責任社員が直接責任を負う理由は、合資会社では出資の履行は設立登記の後でも構わないため、出資の価額が履行されていない場合があるからである。たとえば、定款に記載された有限責任社員の出資分が1,000万円でまったく出資されていない場合、合資会社自体には当該出資分の財産がないため、合資会社を通じて弁済することができない(=間接責任は成立しない)。そこで、出資分とされている1,000万円については、有限責任社員は直接責任を負うことになる。

無限責任社員の出資は合名会社と同様、財産出資・労務出資・信用出資のいずれも認められるが、有限責任社員の出資は財産出資のみ認められる(会社法第576条1項6号)。業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡は、業務執行社員全員の承諾が必要である(会社法第585条2項)。その他の規定は合名会社とほぼ同じである。

合同会社

合同会社はアメリカのLLC(Limited Liability Company)を参考に会社法により創設されたため、日本版LLCともいう。

合同会社とは、有限責任社員のみからなる(無限責任社員が存在しない)持分会社である。株式会社と同様、社員は有限責任しか負わず、設立手続は株式会社よりも簡素なため、創業やジョイントベンチャーなどでの活用が期待されている。なお、合同会社では、有限責任社員しか存在しないため、株式会社と同様財産出資(いくらでもよい)に限られる。また、設立登記までに出資の全部履行が求めら
れるため(会社法第578条)、合同会社の社員は間接有限責任社員となる。

合同会社は、利益配当について制限規定(簿価上の利益を超えて配当することはできない、会社法第628条)があるなど、合名会社、合資会社に比べれば若千株式会社に近い。

つまり、合名会社は無限責任社員のみ、合同会社は有限責任社員のみ、合資会社は無限責任社員と有限責任社員の双方がいるということになる。

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