Partnership – 組合

1 契約を基礎とする組合

[1]民法組合(民法に基づく組合)(民法第667条以下)

民法組合とは、組合契約に基づくものであり、各当事者が出資をして共同で事業を営むことを約する契約をいう。共同ビジネスの原型ともいえるものである。

民法組合は、あくまで組合員同士の契約関係に基づくものであるため、法人格はない。また、出資者たる組合員自らが営業を行うため、個人事業主と同様、組合員は無限責任を負う。基本的に、民法組合に法人格を与えたものが合名会社というイメージである。

[2]有限責任事業組合(LLP)

有限責任事業組合とは、個人または法人が出資して、それぞれの出資の価額を責任の限度として共同で営利を目的とする事業を営むことを約し、各当事者がそれぞれの出資に係る払込みまたは給付の全部を履行することによって、その効力を生ずる契約のことである(有限責任事業組合法第2条1項)。有限責任事業組合法(有限責任事業組合契約に関する法律)に基づく事業体であり、LLP(Limited Liabnity Partnership)ともいう。

民法組合の特例という位置づけなので、有限責任事業組合は法人ではない。基本的に、有限責任事業組合に法人格を与えたものが合同会社というイメージである。有限責任事業組合の主な特徴は以下のとおりである。

1)有限責任制:民法組合と異なり、出資者は出資額までしか責任を負わない(ただし、登記しなければ善意の第二者に対抗できない)。

2)内部自治原則:株式会社と異なり、利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されず、取締役会や監査役のような経営者に対する監視機関の設置が強制されない。これは、基本的に合同会社と同じである。

3)構成員課税:有限責任事業組合自体には課税されず、構成員たる出資者に直接課税される(=パススルー課税)。合同会社は法人税課税後の利益から出資者への利益分配がなされ、出資者はさらに所得税などの課税をされる。

[3]投資事業有限責任組合

投資事業有限責任組合とは、各当事者が出資を行い、共同で株式の取得等の事業の全部または一部を営むことを約する契約をいう(投資事業有限責任組合契約に関する法律第3条1項)。投資をするための組合であり、いわゆるファンドと呼ばれるものである。

投資事業有限責任組合では業務執行を行わない組合員は有限責任となるが、業務執行を行う組合員は無限責任となる。また、対抗要件としての登記が必要である。一方、有限責任事業組合は全組合員が有限責任となるが、各組合員は何らかの形で業務執行に携わらなければならない(有限責任事業組合法第13条2項)。

2 法人格を有する組合

[1]中小企業等協同組合

中小企業等協同組合とは、規模の小さい中小企業が経営資源の相互補完を図るために相互扶助の精神に基づいて組織化し、協同して事業などを行う組合のことであり、個別の法律を根拠法とする。
中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合、企業組合など、中小企業団体の組織に関する法律に基づく協業組合、商工組合など、商店街振興組合法に基づく商店街振興組合などがある。
中小企業等協同組合は法人格を有し、組合員の責任は有限責任である。

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