暴落 間近なときに買ってはダメな業種。オリックス(8591)を例に説明

個別銘柄

こんにちは。飯田隆太です。(twitter:リュータ)

 

 今回は、暴落時における業界別の反応度(下落率)に関してと、いま焦って購入しなくて良い業種および銘柄を、個人投資家の間で「割安」と語られるオリックス(8591)を例に紹介していきます。

 

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暴落時における各業界の下落率は違う

 当たり前のことではあるのですが、暴落時における各業界の下落率は違います。

 

 東京証券取引所は業種を33の異なるセクターとして定義し、関連銘柄をそれぞれの業種に紐づけ指数を作成しています。

 

 例えば、電力・通信業界などは不況・暴落時においても下落率を低いため、「ディフェンシブ銘柄」として知られています。「分散投資をしたほうが良い」とよくいわれますが、分散投資を考える際には、基本的には、業種の考えもベースにしたほうが、なにか予期していなかった有事の際の評価損を和らげたりすることが可能になります。逆にいえば、同業他社を複数社だけ購入していても、リスクを分散という観点からは目的に則しているとはあまり言えないでしょう。

 

景気後退が近いときは金融業からは手をひく

 

 百聞は一見にしかずということで、実際にリーマン・ショック時のデータを例に、業種別の下落率を見てみましょう。以下の表は、経済&マネー 様が作成したもので、リーマン・ブラザーズが破綻する前の営業日である2008年9月12日終値を基準(100%)とした業種別の株価です。

 

 日経平均株価が最安値6,994.9円をつけた2008年10月28日および、終値で7,054.98円をつけた2009年3月10日に、リーマン・ブラザーズ破綻前との比較でどの程度の株価になったのかをまとめているとのことです。

 

(出展: 経済&マネー 「リーマン・ショック時の「業種別」株価ランキング 本当のディフェンシブ銘柄とは?」より抜粋)

 

 金融業は景気敏感業種として知られていますが、この法則が実証されています。

 不況や暴落の足音が聞こえているときは、金融業の銘柄には手を出さないほうが無難といえるでしょう。

 

 余談ですが、この表は示唆に富んでおり、やはり「ディフェンシブ銘柄」と言われる食料品や医薬品が意外にも下落率が高いことなど、大変勉強になります。同表に関する説明等を読みたければ、経済&マネー 様のページを訪問されるのも良いかと思います。

 

 それでは次に暴落時に金融業銘柄に手を出すと、どのようなことになるのかオリックス(8591)を例に考えていきたいと思います。

 

「割安」と個人投資家の間で語られるオリックス

 

 オリックスは、ファンダメンタル指標を見ると、PER 6.15、PBR 0.71、予想配当利回り 4.73+豪華優待つき(2019年6月30日付)とたしかに「割安」に見えます。優待も豪華なため、NISAで長期保有のスタンスで購入する個人投資家の方が多いようです。

 

個人投資家の間で語られるオリックス

(出展: Yahoo!ファイナンス 8591掲示板)

 

 しかし、オリックスは暴落時の下落率が最も高い「その他金融業」に属します。

 

 とはいっても、同じ会社が様々な事業を手がける、いわゆる「多角化」が当たり前になっている昨今で、業種のみで「景気敏感であるから買わないほうが良い」と結論づけることはせずに、次にオリックス自身の株価推移も確認することにしましょう。

 

リーマンショック近辺におけるオリックスの株価推移

 それでは、オリックス自身の株価推移です。

 

オリックスの株価推移2006年から2012年

(出展:株式投資メモのデータより作成)

 

 残念ながら、下落率が大変高い銘柄であることに間違いないことが確認できました。期間をいつからいつまでに取るか、という問題がありますが、オリックスの場合は、市場が景気後退関連指標を察知 ⇒ 金融業から資金が流出 ⇒ (債権貸し倒れ等により)実際に同社の決算も下方修正 ⇒ さらなら株価低下 という流れをを踏んでいますので、景気後退のシグナルが出始めたピーク時から見るのが妥当だと思います。。

 次に、同期間における、同社の売上と当期純利益の推移も見てみましょう。

 

オリックスの売上・当期純利益推移2006年から2012年

(出展: 同社HPから入手可能な財務データより作成)

 

 売上の落ち込みもさながら、当期利益の落ち込みがすさまじく、2009年はかろうじて赤字を免れるレベルに陥っています。当時各所で取りざたされていましたが、持分法適用されていた富士火災と大京の投資に関連する損失と、不動産への貸し倒れ引当金の費用が膨らんだ結果です。

 

 最後に、株価と当期純利益の推移を重ねてみます。きれいな相関性を見て取れます。

 既に書きましたが、市場が景気後退関連指標を察知 ⇒ 金融業から資金が流出 ⇒ (債権貸し倒れ等により)実際に同社の決算も下方修正 ⇒ さらなら株価低下 という流れが伺えます。

 

オリックスの株価と当期純利益の関係

(出展: 同上)

 

次の暴落時も同じ悪夢を見ることになるか

 

最後の疑問は、

 

「次の暴落時も同様の結果を迎えてしまうか」

 

です。

 

 ファクトブックや有価証券報告書を見ると、「アセットクラス」の考え方に則り、投資の分散管理を高めたため、前回のレベルほどには当期純利益は低下しないのではないのか、というのが個人的な意見ではあります。

 

 しかしながら、すでに見たとおり、金融業種は暴落時に最も売られるセクターでありますし、オリックスもその例に該当します。個人的には、原則である、「不況や暴落の足音が聞こえているときは、金融業は手を引く」という原則に則り、いま焦って投資をする必要はまったくないのでは、というのが私の意見ではあります。

 

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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