週次景気先行指数(WLI)についての紹介と2019年7月19日の数値への所感

マクロ動向・指標考察

こんにちは。飯田隆太です。(twitter:リュータ)

 

 週次景気先行指数(WLI)についての紹介と、2019年7月19日時点の数値に対する所感を書きとどめておきたいと思います。

 

WLI(週次景気先行指数)とは

 WLIは、Weekly Leading Indicatorの略で、日本語では「週次景気先行指数」といわれています。住宅販売関連の指標、雇用関連指標、株価、債権価格などの多岐にわたり指標を組み合わせ、米国の広範な景気の見通しを掴みとりたいときに有用な指標です。Economic Cycle Research Institute(ECRI、 景気循環調査研究所)が毎週発表しており、同研究所のサイトにて無料で閲覧することができます。

 

WLIの見方 – 「3つのP」

 WLIの見方としては、次の3条件である「3つのP」を満たすときに景気悪化の動きを読み取れると言われています。その「3つのP」とは、「顕著で(Pronounced)」、「持続的で(Persistent)」、「広範囲にわたっている(Pervasive)」です。

 

 例えば1987年に、株式市場の暴落に合わせてWLIの数値も大きく下がっていますが、ECRI自体は、このときのWLIの下落は特に不況を示すような動きではないと断言しました。この時点のWLIの動きを実際に追ってみると、WLIのマイナス成長が増加し続けたのは3~4ヶ月程度の期間でした。

 一方で、リーマン・ショックの場合は、2008年9月以前の期間で、半年以上の期間、一貫して顕著なWLIのマイナス成長が確認できています。つまり、このように「顕著で(Pronounced)」、「持続的で(Persistent)」、「広範囲にわたって(Pervasive)」、マイナス成長やWLIのレベルの低下が続いている場合は要注意です。

 

WLI – 2019年7月19日時 への所感

 実際に2019年7月19日時点のWLIを見ると、2018年12月~2019年12月時点で141まで、大きく下げたあたりから波を描きながら少しづつ回復してきているように見えます。2019年6月の米雇用統計も予想を大きく上回る高水準でありましたし、日本とは異なり未だ経済の延命対策である利下げが存在する米国に本格的な不況が訪れるのは、所感にすぎませんが、少なくともまだ半年以上はかかるように見えます。

 

 市場の動きを見ると、恐怖指数VIXは現在のところは特に上昇していることも無いようです。しかしながら、金価格は急上昇をしており、先々を見据えたリスク回避の動きが見えてきています。また、以前の記事でも書いたように、バフェット指数やシラーPERを鑑みると、株式市場は割高であることは間違いなく、不況に陥らずとも、なにかをきっかけに一斉な空売りがされて人為的な「調整」がなされることも考えられるため、株式からは一旦手を引き、キャッシュポジションを高くするか、金や優良債権ETFの「iShares Barclays Aggregate Bond Fund」などへ移し替えておくほうがよいでしょう。

 

WLI – 2019年7月19日時

(ECRI HPより抜粋、2019年7月22日時点)

 

VIX – 1年

(今日の世界株価指数より抜粋、2019年7月22日時点)

 

純金上場信託(現物国内保管型) (1540)

(SBI証券から抜粋、2019年7月22日時点)

 

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