コロナショックの今後の想定シナリオ

マクロ動向・指標考察

こんにちは。堤 国之助(twitter:kuninosuke1)です。

 

 新型コロナは当面の間、市場のリスクであり続ける可能性が高いと思われます。今回は、新型コロナ感染拡大が終わるタイミング毎の想定される相場シナリオを検討していきます。

 

パターン① 春頃の収束 – 夏頃に株価回復

 一番楽観的なシナリオは、新型コロナが春頃収束するパターンです。この場合、2020年2~3月の実体経済への影響によって、市場はマイナス成長となりますが、既に株価はマイナス成長を織り込んでいる分、株価の下げ幅も限定的なものとなるでしょう。結果として、夏頃を目途に株価は回復していくだろうと考えられます。

 

パターン② 夏頃の収束 – 経済停滞で金融機関の経営悪化

 悲観シナリオとして市場が織り込み始めているのが、夏頃まで新型コロナが収束しないパターンです。外出自粛や渡航禁止による経済停滞によって、中小企業を中心に資金繰りが悪化する懸念は小さくありません。金融の焦げ付きが相次げば、金融機関の経営悪化につながる可能性があります。

また大幅な株安など市場の波乱が信用不安を増幅すれば、これも金融機関にとっての経営悪化要因となります。この兆候はすでに現れています。米投資適格社債を組み込んだETF「LQD」はここ一週間で一割以上下落する局面がありました。安全資産としてドル資金を確保したい投資家が換金売りに動いたことに加え、社債のデフォルト懸念が市場で強まっていると解釈できます。

 

パターン③ 一年以上、感染拡大が継続 – 個人消費悪化、融資焦げ付きで負のスパイラル

 最悪のシナリオは、一年以上に渡り感染拡大が継続する状況です。こうなってくると東京五輪の中止や延期の可能性も出てきます。景況感の落ち込みから企業が雇用や生産、新規投資を絞り込むことも考えられます。大規模な賃金カットやリストラが広がれば、個人消費を冷え込ませ、さらに雇用や生産の縮小を招く負のスパイラルも想定されます。

 

コロナショックの特徴と、「トリプルショック」の可能性

 今回の危機は、工場閉鎖などの「供給ショック」が起点となっています。米金融大手リーマン・ブラザースの経営破綻という「金融ショック」を発端にしたリーマン・ショックとはこの点が異なります。一方で、個人消費の減退や企業の設備投資抑制などの「需要ショック」を招きつつある中、信用不安が金融ショックを引き起こす「トリプルショック」の恐れも出てきています。

 感染の収束後も個人や企業は再発防止に向けて対策を講じなくてはなりません。工場での防疫対策投資など、企業活動のコストが恒常的に上昇することも考えられます。

 

個人投資家の対策

 パターン①、②、③のそれぞれのシナリオを見てきました。個人投資家は、どのシナリオも想定したうえで、キャッシュポジションを保ち、安値圏で株を購入できるような時間分散で投資していくことが、当面の投資戦略とし適切ではないかと思います。まずは来週以降の相場と新型コロナの罹患者の水位を確認し、収束タイミングを見極めていきましょう。

 

 以上、コロナショックの今後の想定シナリオになります。ご愛読いただき、ありがとうございました

 

 

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