Commercial Law – 商法

商法は、企業活動の円滑化、迅速化を図るため、企業活動としての法律行為について第501条以下に「商行為」という行為類型を定め、「自己の名をもって商行為をすることを業とする者」を商人としている(商法第4条1・2項)。商行為と商人という概念を用いて、商法の適用の有無を決定していく考え方をとつている。なお、商法には「企業」という言葉はなく、会社や企業は「商人」という呼び方
をする。

商事売買の特色

企業活動において最も重要なのは、やはり売買契約である。売買契約については民法が一般法となり、商法は特則となる(商法第524~ 528条)。商法の特則は、主として取引の迅速な確定と売主の利益保護を目的とする。

1 売主の供託・競売権(商法第524条)

商人間の売買では、買主が目的物の受領を拒否した場合や受け取ることができない場合は、売主は常に供託(供託所、つまり法務局に預かってもらうこと)という手段をとることができる。また、裁判所の許可を要しないで目的物を競売して、その代金を、買主からもらうはずだった売買代金として自分が受け取ることができる。

民法の原則では、このようなとき、競売できる場合が限定され、裁判所の許可が必要であるとともに、競売代金を売買代金に充当することは認められていない(他の債権者がいれば、平等に分けなければならない)。

2 確定期売買(定期売買)の解除

売買の性質上または当事者の意思表示により、一定の日時または一定の期間内に履行がないと契約の目的を達成できない確定期売買においては、当事者の一方が履行をせずに、その時期を徒過したときは、相手方がその履行を請求するのでなければ、契約が当然に解除されたものとみなされる。

たとえば、クリスマスケーキ1,000個を12月24日の朝までに納品する契約のように、期限を過ぎると意味のなくなる契約は、何もしなくても契約がなくなってしまう、ということである。民法では、のような場合を「定期行為」と呼び、催告なしに解除することができる(解除の意思表示は必要)とされるにとどまる(民法第542条)。

3 買主の検査・通知義務(商法第526条)

商人間の売買では、買主が目的物を受け取ったときには、遅滞なくこれを検査し、目的物の瑕疵または数量不足があることを発見したときは直ちに、またはすぐに瑕疵が発見できないときは6カ月以内にこれを発見して、売主に通知しなければならない。この検査・通知義務を怠ったときは、買主は目的物の瑕疵または数量不足を理由として、売主の責任(暇疵担保責任または債務不履行責任)を間えなくなる(売主が瑕疵または数量不足について悪意の場合を除く)。また、この規定は不特定物
にも適用される。

商人間では迅速性が要求されるので、検査・通知義務が課される。民法では瑕疵担保責任は特定物が対象となる(判例・通説)が、商事売買では不特定物の売買が圧倒的に多いので、瑕疵担保責任の適用範囲には不特定物も含むとされている。

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