こんにちは。堤 国之助(twitter:kuninosuke1)です。
手堅く資産を積み上げていくには、当サイトで紹介している積立投資が適していますが、一方でこれらは、時間を要する資産形成方法であることも事実です。
そこで今回は、資産形成を加速させるための、変化球として「IPO投資」という投資手法をご紹介します。
(本記事は、bizSpa!フレッシュ様向けに寄稿したものの一部を改訂したものです)
「億り人」も実践するIPO投資
仮想通貨バブルに乗って1億円以上の資産を形成した人々は「億り人」と呼ばれますが、実は仮想通貨ではなく、株式投資を通じて1億円以上の資産を形成した方も増えています。
加藤トモさん(仮名)は、自動車会社に勤める39歳で、保有資産はすでに1億円を超えており、その保有資産のある程度は、IPO投資で稼いだといいます。
「はじめに経験したIPO投資の銘柄はタマホームでした。この投資で約600万円資産を膨らませることができました。IPO投資のメリットを知り、その後も日本郵政やかんぽ生命保険など他のIPOの銘柄に継続的に投資するようになりました。結果的に、私の資産のうちの約20%は、IPO投資で形成できたことになります。IPO投資は、勝率も利幅も高いので常に申し込んでいます」
つみたてNISAを利用した積立投資などの手堅い投資も実施されているとのことですが、短期間で大幅なリターンを稼げるIPOも常に申し込んでいるとのことです。
IPO投資の勝率は96%以上
そもそもIPOとは、「新規公開」を意味します。企業は株を証券取引所に株式を上場することで、誰でもその株式を購入可能にします。そして、購入者を増加させることで株価の上昇を狙います。
個人投資家は、IPO株を購入したい旨を証券会社に申し込みます。証券会社は、予め決まった価格(公募価格)で購入できる人を、申込者のなかから抽選します。そして、いよいよ新規公開時点となり、売り出された株式数以上に需要があると、株価(初値)は大きく上昇するという仕組みです。
I POの売買は、勝率が非常に高いことで有名です。2019年1月から4月時点までに、国内では26企業[1]が上場し、そのうち25企業が初値を公募価格が上回りました(勝率96%)。さらに、このうち12企業は株価が、2倍以上になっています(2019年5月時点)。
仮に全てのIPOに当選し、購入後にすぐに売却したとすると、必要な投資金額の約540万円に対して、売却金額が約1140万円となり、600万円程度の利益を得ることができたことになります。
もちろん、購入後に保有しつづける選択肢もあります。私たちの身近な例でも、世界中で利用されているiPhoneを提供するappleは、1980年の上場から2018年の最高値の株価は約400倍となっています。いまや先進国の生活インフラともいえるAmazonも、1997年の上場時は、1.5ドル(163円)の株価からスタートしました。その後成長を続け、2019年4月の株価は1,950ドル(21万3000円)と、約1300倍となっています。
魅力が高いIPO投資ですが、はIPO株に当選しづらいことです。この魅力を知っている投資家はこぞってIPO株に応募するため、なかなか当選しません。
IPO当選確率の上げ方
そんなIPO株の当選率が上昇する3つの秘策をご紹介いたします。
1つ目は、複数の証券会社からIPOを応募することです。IPOは1社でなく、複数の証券会社で取り扱っています。そのため、取扱がある証券会社全てに応募することで、当選確率が上昇します。
2つ目は、「主幹事」証券会社に応募することです。IPOの取扱数は、各証券会社で異なります。IPOを取り仕切る「主幹事」と呼ばれる証券会社が最も多くのIPOを保有しています。つまり、主幹事証券会社に応募することで、当選確率が上昇します。
3つ目は、証券口座に資金を預けておくことです。IPO株の割当ルールは、証券会社ごとに異なります。完全にランダムで抽選する会社もあれば、意図的に当選者を決定する会社もあります。後者の場合、IPO株を配分した場合、その後の取引拡大につながるか、という観点が重視されています。
証券業界出身者によれば、「証券口座に資金が預けられていると、資金が少ない顧客と比べ、取引拡大の可能性が高いと判断されることがあります」とのこと。目安としては、100万円以上が口座に入金されていると、取引拡大の可能性ありと見られ、抽選確率を上昇させることができるようです。
IPOの注意点
ここまでIPOのメリットをお伝えしました。最後に実際の投資に際して注意点を2つお伝えします。
1つ目は、IPOといえど、絶対に株価が上昇すると決まっているわけではないことです。
上述の通り、今年は26企業中25企業の初値が公募価格を上回っておりますが、1社は下回っています。勝率が極めて高いIPOでも、投資に絶対はありません。株価下落の可能性は常に視野に入れ、過剰な投資は控えてください。
2つ目は、証券会社毎で応募ルールが異なることです。
証券会社によっては、IPO当選後にキャンセルした場合、翌日から1か月間IPOに応募できない等、会社毎のルールが存在します。そのため、IPOに応募する証券会社の利用制限は軽視せず、事前に確認するよう心掛けてください。
IPOは数少ない、ローリスク・ハイリターンの投資法
今回は、IPOによる短期間でのハイリターンの獲得方法をお伝えしました。IPOの当選確率は低いものの、当選してしまえば、数少ない「ローリスク・ハイリターン投資」といって過言ではなく、個人投資家の間で最良の投資方法のひとつとして広く認識されています。積立投資などの手堅い投資に加えて、ぜひ挑戦してもらえればと思います。
[1] 2019年1月から2019年4月までの期間で、日本の全証券取引上を対象。投資法人を除いた上場企業数26社
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