こんにちは。飯田龍太です。(twitter:リュータ)
今回は、人を動かす上で有用なフレーム・ワークである、MEATを紹介したいと思います。
単純作業だけで成り立つ職務でない限り、サラリーマンであれば、どのような仕事であろうと、人を動かし納得してもらう必要があります。大きな企業になればなるほどステークホールダーの人数とこのような必要性は高まるでしょう。
思わぬところから口をはさむ人物が出てくることで、説得するための材料を集めたり、ストーリーを考えたりと奔走しながら1日が過ぎてしまった。こんな経験は誰しもが経験しているのではないでしょうか。
今回、紹介するフレーム・ワークは、このような状況に遭遇したときに、説得するための材料や方向性をクイックに洗い出しすることができる非常に有用なツールです。
私自身も、このツールを新卒の頃に知ってからは、日々使っています。
(このフレーム・ワークは、知る人ぞ知る、某ミス○という企業のスーパー・エース社員から教わったものです。※ちなみに彼はもう同社を退職はしていますが)
サラリーマンは、以前の記事でも紹介したとおり、1日のうちの8時間をいかに職務経歴書に追記できる「おいしい仕事」に割り当てられるかが勝負です。くだらない調整などの仕事をしている暇はありません。今回のフレーム・ワークを使って、調整の仕事は瞬殺してしまいましょう。
人を動かすフレーム・ワーク: MEAT
人を動かすフレームワークは、MEATと言います。
MEATは、次に詳細説明していく、①Merit、②Emotion、③Authority、④Threat の頭文字を取ったものです。
英語の意味は、「お肉」ですが、ただの語呂合わせなので、意味はありません。ただ、語呂がいいので、覚えやすいですね。
フレーム・ワークは、カオスなビジネス・デイの最中で、時間も切迫しており焦りや緊張で一杯のさなかでもすぐに思い出せるべきです。むしろ、そのような状況でこそ効果を発揮するべきです。
どんなに強い呪文でも戦闘の最中に唱えられなければ意味がありません。その意味でも、語呂がよくすぐに思い出せる、このフレーム・ワークは優れています。
イメージ – 呼吸するように使えないフレーム・ワークなら意味がない
(出所: 冨樫義博、『レベルE』 3巻より抜粋)
さてそれでは、中身にはいっていきましょう。
M: Merit / メリット(金銭、時間、評価など)
最初の構成要素は、Merit / 相手にメリットを感じさせることです。ロス・損失を回避できることを理解させることも含まれます。
なにかを提案ないしは主張するときに、相手にメリットを感じてもらうことは基本中の基本です。
ただ、切迫している最中では、このような基本すらおろそかになってしまうこともあるでしょう。
時間が切迫していて、相手にすぐに「YES」と言ってもらわなくてはならない。そんなときこそ、一度「MEAT」のフレーム・ワークで立ち返って、相手にとってのメリットを整理してみるのは有用です。
また、相手に訴えかけるときに、個人 / 組織レベルや、短期 / 中長期で整理して話すのも有効です。
私の仕事は社内の投資案件に対するアドバイスですが、例えば、条件を満たして異なる会計処理を適用するべきというアドバイスをセールスにしたとしましょう。その場合は以下のような発言をしています。
「今の時点で最も考慮するべきことは、社内の稟議を通すことだ。この方法なら稟議を通すことができる。(相手のメリットを強調)トータルの採算性は下がるかもしれないが、早期の採算性の向上は、会社の役員レベルが望んでいることだ。今期の利益率向上が目標だという言われているし、承認者からもそう聞いている。」
E: Emotion / 感情
次は、Emotion / 感情です。相手の感情に訴えかける言い方をすることで相手の同意を取り付けます。Emotion / 感情における選択肢は、さらに以下に分類できます。
① 正しい(倫理的・政治的・社会的・法律的に・会社として)やるべきであると理解してもらう
② 自分が困っていることを理解してもらう
①であれば、
「企業として利益を出すことが存在目的ですよね。」
「会社の方向性として~」、
などのリマインドをまずはかけます。
例えば、以下のような発言が事例です。
「18時以降にミーティングを設定することは、会社のガイダンスでも周知されているとおり厳禁です。緊急ということは理解しますが、会社としても残業を減らす活動を推進されていることもありますので、次回からは前もってスケジュール管理をしていただき、このようなことはないようにお願いいたします」などです。
② に関しては、相手の価値観を見極めながら、共感されるような言い方をします。
これは、相手とのリレーション次第のところもあるので、普段から目をかけてもらうように、評価を上げておくなども人によってはある程度必要です。
A: Authority / 権威
次は、Authority / 権威です。上司・組織の上の人間などが認可していることを強調します。
① Authorityの言い方の1つ目としては、話している相手よりも上位の人間の許可 / 承認や話を取り付けていることを強調するという言い方があります
事例としては、既に挙げているような、以下になるでしょう。(その意味では、以下の事例はMeritとAuthorityの2つの要素を持っています)
「今の時点で最も考慮するべきことは、社内の稟議を通すことだ。この方法なら稟議を通すことができる。(相手のメリットを強調)早期の採算性の向上は、会社の役員レベルが望んでいることだ。今期の利益率向上が目標だという言われているし、承認者からもそう聞いている。」
② Authority の言い方の2つ目としては、専門領域(例: 会計、法曹、業界)などの原則や権威を借りることです。
大体のサラリーマンは、細かい会計原則や法律について詳しくないので、「米国会計基準では、~の処理を行うことはできないしするべきでない」、「監査では金額の大きな案件ほどひっかかる可能性が高まるので、このように規模が大きな案件ほど会計原則をしっかりとするべきだ」、「リーガルの見地から考えるに~」、などと言うと何も言えなくなります。もちろん、実際に自分がそれなりに知っている上で使うべきですね。
T: Threat(金銭、時間、評価など)
最後は、Threat / 脅し です。具体的な損失や個人的な評価の低下などを強調します。例えば、会計原則・法律・社内規定などの割けるべき帰結を強調します。
私の仕事の特殊性ゆえ、似たような事例になってしまいますが、以下のようなことを言ってムダなやり取りを避けています。
「監査では金額の大きな案件ほどひっかかる可能性が高まるので、このように規模が大きな案件ほど監査を受けますし、虚偽の表示が行われたことが判明した際に責任を取れないですよね。」
「弊社は、NY市場に上場している企業です。つまり、SECとSOX法の適用を受けています。財務諸表の数値が誤っていることが監査で判明した場合、CEOとCFOが禁固刑や罰金を受ける可能性があるなどあります。また、XX社の事例のように、財務諸表数値の虚偽の表示は、株価の暴落にも繋がります。そのような可能性を避けるために我々はできるだけ正しい会計処理を行おうとしているのです。このようなセンシティブな問題を取り扱っていることを今一度、ご理解ください」
以上、人を動かすためのフレーム・ワーク、MEATを紹介いたしました。ご質問等あれば、コメントやお問い合わせからご連絡ください。
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