こんにちは。堤 国之助(twitter:kuninosuke1)です。
前回、アメリカ大統領選と株価の関連性のアノマリー(Anomaly)※をご紹介しました。
※アノマリー…現代ポートフォリオ理論や相場に関する理論の枠組みでは説明することができないものの、経験的に観測できるマーケットの規則性のことを意味します。つまり、理論的な根拠は持たないものの、「よく当たるかもしれない」経験則のことです。
今回は有名な「セルインメイ(Sell in May)」というアノマリーを調べたいと思います。何故、9月手前のこの時期にセルインメイを調べるかというと、このアノマリーの正確な表記が「Sell in May, and go away; don’t come back until St Leger day」であるからです。つまり、「5月に売って、セントレジャーデイ(9月の第2土曜日)までは戻ってくるな」ということを意味しています。文字通りに解釈すれば、9月が底値で、5月が高値ということになります。この格言に沿って9月に購入し、5月に株を売却した場合どうなるか、確認してみたいと思います。
セルインメイと言われる理由
セルインメイと言われる大きな理由として、アメリカの税制度が挙げられます。アメリカでは、年末に株などの損出しの売りをし、年間の所得を調整します。そして1月半ばからは総合課税の還付を請求し、源泉徴収されすぎた分は1月末ごろから還付が始まります。ちなみにこの還付は5月まで続き、還付金は例年非常に巨額で、還付された資金が消費や投資に使われるため、アメリカでは5月ごろまで相場が強くなる、というのが一般的に言われています。
セルインメイの効果は?
結論から申し上げると、9月に株を購入し、翌年5月に売却した場合における勝率は、過去12年分を踏まえると勝率は約80%となりました。この結果を踏まえると、当アノマリーは効果があると言えるでしょう。
(単位: USドル)
# |
対象年 |
9月終値 |
5月終値 |
売却損益 |
1 |
2019 |
– |
24,815.04 |
-1,643.27 |
2 |
2018 |
26,458.31 |
24,415.84 |
2,010.75 |
3 |
2017 |
22,405.09 |
21,008.65 |
2,700.50 |
4 |
2016 |
18,308.15 |
17,787.20 |
1,502.50 |
5 |
2015 |
16,284.70 |
18,010.68 |
967.78 |
6 |
2014 |
17,042.90 |
16,717.17 |
1,587.50 |
7 |
2013 |
15,129.67 |
15,115.57 |
1,678.44 |
8 |
2012 |
13,437.13 |
12,393.45 |
438.44 |
9 |
2011 |
11,955.01 |
12,569.79 |
1,781.74 |
10 |
2010 |
10,788.05 |
10,136.63 |
423.90 |
11 |
2009 |
9,712.73 |
8,500.33 |
-824.68 |
12 |
2008 |
9,325.01 |
– |
– |
(前年9月の終値で購入し、翌年5月の終値で売却したと仮定)
今年も勝てる?
上記調査の通り、データから見れば当アノマリーは有効と言えるでしょう。では今年はどうかというと、まだ先が見えない状況です。米中貿易摩擦など、不透明な経済要素が多く、一概にアナマリーが通用しないかもしれません。あくまで材料の一つとして頂ければと思います。
以上、知っておきたいアノマリー「セルインメイ(5月に売れ)には続きがある」の紹介になります。ご愛読いただき、ありがとうございました
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