監査役とは取締役や会計参与の職務執行の監査(=業務監査、会社法第381条1項)および計算書類等の盤査(=会計監査、会社法第436条1項)を行う機関である。
監査役の設置は原則として任意であり、監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く)または会社法の規定により監査役を置かなければならない株式会社を監査役設置会社という(会社法第2条9号)。
監査の範囲を会計に関するものに限定された監査役を会計監査限定監査役、小監査役と呼ぶことがある。株式会社との関係(会社法第330条)、選任(会社法第329条)、欠格事由(会社法第335条)は、取締役と同様である。ただし、解任は取締役と異なり株主総会の特別決議を要する(会社法第309条2項7号、343条4項)。
[1]任期(会社法第336条1項)
監査役の任期は、原則として選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のも
のに関する定時株主総会の終結の時までである。取締役と異なり、監査役の任期を
短縮することはできない。任期の伸長については株式会社の形態により異なる。
[2]報酬など(会社法第387条)
取締役と同様、報酬、賞与などは定款または株主総会(普通決議)によって決定
される。なお、監査役が2人以上いる場合であって各監査役の報酬などについて定
款の定めまたは株主総会決議がない場合は、当該監査役の協議によって定める。
[3]監査役の権限(会社法第381条他)
監査役は、取締役(および会計参与)の職務の執行を監査し、計算書類等を監査
する。また取締役(および会計参与)などに対し事業の報告を求め、または監査役
設置会社の業務および財産の状況の調査をすることができる。
[4]監査役の義務(会社法第382~ 384条他)
監査役には以下のような義務がある。
1)善管注意義務
2)監査報告の作成義務
3)取締役が不正行為をした場合等における取締役(取締役会設置会社では取締
役会)への報告義務
4)取締役会への出席義務、意見陳述義務(必要があると認めるとき)
5)株主総会への提出議案・書類を調査し、法令・定款違反(おそれ含む)等が
あった場合における株主総会への報告義務
監査役は、その任務を怠って株式会社に損害を与えた場合は、株式会社に対し損
害賠償責任を負う(会社法第423条)。この責任は過失責任である。
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